妊娠するときからだで起きていること。
女性の生殖器の仕組みを知ろう

目次

妊娠するからだのメカニズム

妊娠は、男性の精巣で作られた精子と、女性の卵巣から排卵された卵子が卵管内で融合して受精卵となることから始まります。受精卵は分裂を繰り返しながら、卵管を通って子宮内膜に着床し、胎児および胎盤やへその緒へと発育していきます。妊娠、すなわち生命が宿るとき、女性のからだの中ではどんなことが起こっているのでしょうか。そのしくみを詳しくみていきましょう。

排卵が起こるしくみ

女性は卵巣の中に、卵子のもととなる原始卵胞をもって生まれてきます。この原始卵胞は胎児期から減少していき、新たに産生されることはありません。卵胞は、卵子とその周囲を取り囲む袋状の細胞からできており、思春期になると発育を開始します。卵胞が成熟して排卵が生じると生理が始まり、生理周期を刻むようになります。そして、直径20mmほどの成熟卵胞になると、中から卵子が放出されます。これが排卵です。

卵巣で起きる排卵のリズムは、脳の中枢でコントロールされています。視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が下垂体に作用し、その刺激で下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、卵胞を成熟させます。

卵胞の発育に伴い、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)が増加すると、その信号が下垂体に伝わり、黄体化ホルモン(LH)の分泌が急増(LHサージ)して排卵が起こります。卵子が放出された後の卵胞は黄体に代わり、そこから黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。

卵胞から放出された卵子は直ちに卵管内に輸送され、卵管内で受精が起き、子宮に着床すると妊娠が成立します【図1】。なお、妊娠が成立しなかった場合は、排卵後14日ほどで生理が起こります。


受精から妊娠までの流れ

卵子は卵巣から腹腔(ふくくう)に排卵された後、卵管采(らんかんさい)に捉えられ、卵管膨大部(らんかんぼうだいぶ)に進みます。

【図1】 受精から妊娠までの流れ

精子は腟内に射精された後、子宮腔・卵管を通過し、卵管膨大部で卵子と出会います。精子と卵子が合体・融合すれば受精が成立し、受精卵となります。

卵管膨大部で受精した受精卵は、分裂を繰り返しながら卵管内を通過し、数日かけて子宮腔内に到達し、着床します。

子宮内膜に着床した受精卵(胚;はい)は胎芽(たいが)を経て胎児へと成長していきます。

妊娠しているかどうかは基礎体温でわかるの?

基礎体温の高温相が17日以上続く場合は、妊娠の可能性があると考えられます【図2】。高温期が長引くのは、体温を上げる作用があるプロゲステロンが、排卵後にできた黄体から分泌し続けるためです。また、プロゲステロンが分泌されている間は、受精卵が育つように子宮内膜が厚い状態に保たれるため、生理も起こりません。なお、妊娠した場合、基礎体温はその後、16週頃から徐々に下降し、20週頃には排卵前の低温期の水準に戻ります。

→詳しくは
・基礎体温とは?基礎体温でからだのどのようなことが分かるの?

【図2】 基礎体温の変化で分かる妊娠

女性の生殖器のしくみ

女性の生殖器はとても複雑でドラマチック。生殖器の構造を知っておくことは、毎日のからだのケアや病気の早期発見のためにとても大切です【図3】。

【図3】 女性の生殖器

参考文献

  1. 病気がみえる Vol.10 産科第4版 医療情報科学研究所 編集 株式会社メディックメディア(確認用p12、16、17、19)
  2. ハッピーライフのために女性が知っておきたい30のこと 吉村泰典 編著 毎日新聞出版(確認用;p58、59)
  3. 病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版 医療情報科学研究所 編集 株式会社メディックメディア(確認用;p3、7、8、13)

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東邦大学医学部 産科婦人科学講座
東邦大学医療センター大森病院 産婦人科 教授
片桐 由起子 先生

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