女性ホルモンとは?基礎体温でホルモンリズムをチェック

目次

女性ホルモンってなあに

女性ホルモンとは、主として卵巣から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」を指します。
エストロゲンとプロゲステロンは、一定の周期でそれぞれの分泌量のバランスを変えながら、女性のからだと心に作用しています【表1】。

このホルモンの作用によって、排卵や生理が起こり、妊娠や出産ができます。正しいホルモンバランスが保たれていると、生理周期にあわせて基礎体温は高温期(相)・低温期(相)の二相を描きます。

【表1】 女性ホルモンの作用

エストロゲン

【働き】

  • 女性らしさをつくるホルモン
  • 女性らしいからだをつくり、子宮に作用し、妊娠に備えて子宮の内膜を厚くする
  • 自律神経、感情の動き、骨、皮膚、脳の働きにも大きく関わっている

【分泌時期】

  • 生理の終わり頃から、排卵前にかけて分泌が多くなり、基礎体温は低温期を示す
  • エストロゲンの分泌が多い時期は、卵胞期と呼ばれ、比較的からだも心もお肌も安定し、体調がよい時期

プロゲステロン

【働き】

  • 妊娠を助けるホルモン
  • 受精卵が子宮内膜に着床しやすい状態にととのえ、妊娠後は妊娠を継続させる働きをする
  • 体内の水分を保持したり食欲を増進させたりする働きがある
  • 基礎体温を上げる働きがある

【分泌時期】

  • 排卵後から次の生理にかけて分泌され、基礎体温は高温期を示す
  • プロゲステロンの分泌が多い時期は黄体期と呼ばれ、人によっては、腹痛、腰痛、頭痛が起きたり、むくんだり、精神的に不安定になってイライラしたり、吹き出物が出たりすることもある

このような症状が重くなると、生理前症候群(PMS) と呼ばれる

女性ホルモンと年齢

女性ホルモンの分泌量は年齢によって増減があります。女性の一生は、小児期、思春期、性成熟期、更年期、老年期の大きく5つのステージに分類されます。 女性のからだは8歳〜55歳くらいのあいだ、女性ホルモンによる変化を受けています【図1】。

【図1】 女性の一生とホルモンバランスの変化

【図1】 女性の一生とホルモンバランスの変化 【図1】 女性の一生とホルモンバランスの変化

「働く女性の心とからだの応援サイト」
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/lifestage.html
(2023年11月閲覧)

  • 0〜8歳 [乳児期、小児期] この世に生まれ、からだが大きく成長する時期です。
  • 8〜18歳 [思春期] 女性ホルモンの分泌が徐々に増えてくる年代です。初潮(初経)が始まるのもこの時期です。
  • 18〜45歳 [性成熟期] 女性としてのからだの働きが安定してきて、女性ホルモンの働きも活発になります。妊娠・出産に必要なからだの環境が整う時期です。
  • 45〜55歳 [更年期] 性成熟期が終わると、徐々に女性ホルモンの働きが衰え始め、生理が止まり、閉経する時期を迎えます。
  • 55〜75歳 [ポスト更年期] 閉経以降は女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に減るため生活習慣病のリスクが高まります。

ホルモンバランスが崩れる原因

ストレスや無理なダイエットが
ホルモンバランスを狂わせる

ホルモン中枢をつかさどる脳の視床下部は心の影響を受けやすく、ストレスを受けるとホルモンの分泌量に影響を与えたり、生理周期が乱れたりします。女性ホルモンは、からだの栄養状態にも影響されるため、無理なダイエットなどで急激に体重が減ると、生理トラブルが起こる可能性があります。それによって生理不順となり、血行、筋肉、関節、自律神経系、免疫系に支障が生じます。それが、冷え、痛み、イライラ、疲れやすい、肌荒れ、風邪をひきやすいなどの要因になるのです。

女性ホルモンってどこから出るの?

脳から指令が出て卵巣から分泌されます。脳にある視床下部と下垂体が女性ホルモンをコントロールする司令塔です。脳から指令が下ると性腺刺激ホルモンが分泌されます。すると、卵巣が働き、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが分泌されます。脳からの指令によって分泌されるので、排卵や生理はストレスなどの影響も受けやすいのです。

基礎体温とホルモンリズム

プロゲステロンは基礎体温を上げる機能があります。そのため、プロゲステロンが増加する時期は、基礎体温が上がって高温期になり、妊娠が成立せずに生理が起こるとプロゲステロンは減少して基礎体温は低温期になります。基礎体温は、卵胞の変化やエストロゲン、プロゲステロンの分泌と合わせて変わっていきます。このホルモンリズムの変化が、基礎体温を測ると見えてきます。

基礎体温に合わせてホルモンのリズムを見てみましょう。

基礎体温のグラフが正常なパターンを描かない人は、ホルモンリズムが乱れている可能性があります【図2】。

【図2】 女性ホルモンとからだの変化

【図2】 女性ホルモンとからだの変化 【図2】 女性ホルモンとからだの変化

※生理は、正しくは「月経」といいます。ここでは、皆さんになじみのある「生理」をつかっています。

参考文献

  1. ハッピーライフのために女性が知っておきたい30のこと 吉村泰典 編著 毎日新聞出版
  2. 病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版 医療情報科学研究所 編集 株式会社メディックメディア
  3. 働く女性の心とからだの応援サイト
    https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/lifestage.html(2023年11月閲覧)
  4. 健康寿命をのばそう SMART LIFE PROJECT
    健康イベント&コンテンツ 女性ホルモンとうまく付き合っていくには?~増える月経トラブルとその対処法を基本から知ろう~
    https://www.smartlife.mhlw.go.jp/event/womens_health/2021/lecture1 (2023年11月閲覧)
  5. 不調をなおしてキレイになる 女性ホルモン基本事典 平田雅子監修 成美堂出版

監修者のご紹介 ▶︎ 監修者の詳細ページへ

九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)
九州大学病院 産科婦人科  教授
加藤 聖子 先生

基礎体温は定期的につけるだけで、あなたの体の状態、リズムがわかります。そのしくみを知って有効に利用しましょう。

よく読まれている記事

関連キーワード

  • ホルモン
  • 月経周期
  • エストロゲン
  • 月経困難症
  • プロゲステロン
  • PMS