基礎体温で自分のからだを知ろう。
セルフケアってどんなことをしたらいい?

目次

基礎体温でわかるからだのリズム

基礎体温を記録してグラフにしてみると、正常であれば生理中から生理後にかけて体温の低い低温期(相)があり、その後、2週間ほど体温が高い高温期(相)が続いた後、再び体温が下がって生理が来ることが分かります【図1】。
こうした体温の変化は、女性ホルモンの働きによるもので、基礎体温を続けて記録していると、生理が始まるタイミング以外にも、女性ホルモンの変化によってもたらされる心やからだのリズムを知る手がかりとなります。
基礎体温を日々の健康管理のバロメーターとして活用し、セルフケアに役立てましょう。

【図1】 生理周期が28日間の場合のカラダのリズム

【月経期】からだが冷えやすく疲れやすい時期。月経痛等の不調が起きがちに。【キラキラ期】からだは絶好調。代謝があがり、気分も前向きな時期。【キラキラ低下期】むくみがち、便秘がちになりつつある時期。【ブルー期】特にからだの不調が気になる時期。気分が不安定になることも。 【月経期】からだが冷えやすく疲れやすい時期。月経痛等の不調が起きがちに。【キラキラ期】からだは絶好調。代謝があがり、気分も前向きな時期。【キラキラ低下期】むくみがち、便秘がちになりつつある時期。【ブルー期】特にからだの不調が気になる時期。気分が不安定になることも。

からだのリズムとセルフケア

なんらかの病気が原因で、女性ホルモンの分泌が乱れている場合は、その病気を治すことが優先されます。
また、不規則な生活、睡眠不足、過度のストレス、無理なダイエット、栄養の不足や偏りといったことが長く続くと、本来問題のない視床下部や脳下垂体、卵巣などにトラブルを引き起こし、からだがもっている抵抗力や回復力が低下し、体調を崩す大きな要因となります。その結果、生理周期が乱れてしまっていることもあります。
体調が崩れると女性ホルモンの分泌も乱れ、生理周期も不安定になります。ホルモンバランスをできるだけよい状態でキープできるよう、日頃から自分自身のからだに関心をもち、セルフケアを実践するようにしましょう。

●女性が健康でいるための生活習慣

  1. 1.適正体重を守る
  2. 2.栄養バランスを整える
  3. 3.適度に運動する
  4. 4.禁煙する・受動喫煙を避ける
  5. 5.アルコールは控えめに
  6. 6.ストレスを溜め込まない

厚生労働省/SMART LIFE PROJECT
『「プレコンセプションケア」をみんなの健康の新常識に』より引用

1. 適正な体重を守る

過度な肥満ややせは生理トラブルにつながります。肥満とやせの判定には、BMI(体格指数)を用います。成人女性におけるBMIの標準値は18.5以上25.0未満で、この範囲内であれば「普通体重」、18.5未満であれば「低体重(やせ)」、25.0以上は「肥満」と判定されます。適切な食生活と運動習慣によって、BMIを18.5~25.0でキープするようにしましょう。

【体格指数(BMI)の求め方】
BMI=体重(kg)÷身長(m)2
たとえば身長160cm、体重50kgの場合、BMI は50÷1.6÷1.6=19.5となる

2. 栄養バランスを整える

からだに必要な栄養が不足すると筋肉量の低下などとともに、生理不順や無月経になることがあります。女性のからだは、女性ホルモンの影響を受けながら、一定の周期で生理が繰り返されます。排卵後から次の生理にかけての約2週間(基礎体温の高温期)は、1日のエネルギー消費量が増え、体内のビタミンやミネラルも不足しがちになるといわれています。からだに必要な栄養が不足しないよう、たんぱく質や炭水化物、ビタミン、カルシウム、鉄、亜鉛などを意識して摂るようにしましょう。

3. 適度に運動する

適度な運動はからだの血流をよくするだけでなく、気分転換にもなり、ストレス発散にもつながります。また、運動することで、からだが適度に疲労を感じ、睡眠の質も向上します。運動といっても激しいスポーツや筋トレを行う必要はありません。運動に慣れていない方は、軽いウォーキングからはじめてみてはいかがでしょうか。自分にあった強度で、適度な運動を続けましょう。

4. 禁煙する・受動喫煙を避ける

喫煙は、女性ホルモン(エストロゲン)の代謝を早め、またエストロゲンの作用を弱めます。その結果、卵巣機能が低下して生理トラブルが起きたり、不妊になったりすることもあります。また妊娠・出産時には、早産や流産、胎盤異常などの合併症の増加や、胎児の発育障害につながることもあります。さらに老年期には、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などのリスクを高めます。これらは、本人が吸い込む煙(主流煙)でも副流煙や呼出煙による受動喫煙でも同様だといわれています。
これまで禁煙は、個人の意志や努力によって達成できるものとみられてきましたが、今ではニコチン依存症という病気ととらえ、禁煙治療に対する保険診療が可能となりました。ご自身あるいはパートナーが喫煙者であれば、禁煙・受動喫煙防止のために禁煙外来を受診してみてはいかがでしょう。

5. アルコールは控えめに

女性の飲酒によるからだへの影響として、「肝硬変やアルコール依存症になりやすい」、「乳がんや子宮頸がんなどのリスクが増加する」、などが知られています。これは、女性は男性に比べて体の水分量が少なくアルコールの分解が遅いため、アルコールの血中濃度が上がりやすいことやエストロゲンなどのはたらきが関係しています。
女性は少量で短期間の飲酒であってもからだへの影響が大きくあらわれるため、1日の飲酒量は10g(純アルコール量)程度を目安にしましょう。ただし、妊娠中の飲酒は「胎児性アルコール症候群」のリスクがありますので、絶対に避けてください。

【純アルコール量の求め方】
BMI=体重(kg)÷身長(m)2
純アルコール量(g)=飲酒量(mL)×アルコール度数(%)÷100×0.8

6. ストレスを溜め込まない

現代は、ストレス社会といわれており、ストレスを避けて生活することは困難です。しかし、強いストレスを長期間受け続けると、自律神経のバランスが崩れ、めまいや頭痛、肩こり、冷え、イライラ、集中力の低下など、からだと心に多くの不調があらわれます。
この自律神経の働きを調節しているのは脳の視床下部です。視床下部はさまざまなホルモン分泌の調節を行っているところで、自律神経のバランスの乱れは視床下部の調節機能を乱し、ホルモンの分泌にも影響を与えます。入浴、ヨガ、アロマテラピー、ストレッチなど、自分にあったリラックス法を見つけ、ストレスを溜め込むことのないようにしましょう。

※生理は、正しくは「月経」といいます。ここでは、皆さんになじみのある「生理」をつかっています。

参考文献

  1. もっと知りたい!基礎体温のこと 松本清一 監修 基礎体温計測推進研究会 編著, 東京, 株式会社十月舎, 2010, (審査用:p108~111)
  2. 健康寿命をのばそう SMART LIFE PROJECT
    健康イベント&コンテンツ 「プレコンセプションケア」をみんなの健康の新常識に
    https://www.smartlife.mhlw.go.jp/event/womens_health/2021/lecture2
    (2024年1月閲覧)
  3. 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット[情報提供] 肥満と健康
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html
    (2024年1月閲覧)
  4. 働く女性の心とからだの応援サイト 食事
    https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/meal.html
    (2023年12月閲覧)
  5. 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ 女性と喫煙 平野 茉来 監
    https://w-health.jp/puberty/smoke/ [ヘルスケアラボは厚生労働科学研究費補助金を受けた研究班で運営されたサイトです]
    (2024年1月閲覧)
  6. 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット[情報提供] 女性の飲酒と健康
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-04-003.html
    (2024年1月閲覧)

監修者のご紹介 ▶︎ 監修者の詳細ページへ

九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)
九州大学病院 産科婦人科  教授
加藤 聖子 先生

基礎体温は定期的につけるだけで、あなたの体の状態、リズムがわかります。そのしくみを知って有効に利用しましょう。

九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)
九州大学病院 産科婦人科  助教
河村 英彦 先生

日々の体調管理や妊活に基礎体温をぜひ役立ててください。普段の生活では気付きにくい体のことを、ホルモン分泌の様子を教えてくれます。

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