子宮内膜ポリープ、子宮頸管ポリープとは?
診察と治療の内容、受診タイミング

目次

子宮内膜ポリープ、
子宮頸管ポリープとは

「ポリープ」とは、粘膜などが盛り上がってできた腫れ物です。子宮にできるポリープには、子宮内膜にできる子宮内膜ポリープと、腟の奥にある子宮の入り口にできる子宮頸管ポリープがあります【図1】。多くは良性の腫瘍で、大きさは小さいもので1cm以下から、大きいものでは数cmのものもあります。

①子宮内膜ポリープ

子宮の内側を覆っている子宮内膜にできるポリープです。主な症状は不正出血ですが、大半の方は無症状です。子宮内膜ポリープが受精卵の着床を妨げて、不妊の原因になるといわれています 。

②子宮頸管ポリープ

子宮の入り口部分(子宮頸管)にできるポリープで、多くは無症状です。ただし、子宮頸管ポリープは接触により出血しやすいため、性交後に出血が見られたり、その後に感染を起こしたりすることがあります。
これらのポリープの多くは良性ですが、ごく一部に悪性(がん)のものがあるため、注意が必要です。

【図1】 子宮内膜ポリープ・子宮頸管ポリープの発生部位

子宮内膜ポリープ、
子宮頸管ポリープの診断

①子宮内膜ポリープ

問診で症状を確認したあと、腟から器具を入れて超音波検査を行い、子宮の中の状態を観察します。ポリープを見やすくするために、子宮の中に生理食塩水を入れながら超音波検査を行うこともあります。
子宮内膜ポリープが疑われる場合には、内膜の組織や細胞を採取して、悪性(がん)の可能性がないか検査を行うこともあります。
また、子宮鏡と呼ばれる細いカメラを子宮内部に入れて、子宮内の状態を観察したり、そのまま摘出したりすることもあります。

②子宮頸管ポリープ

問診で症状の有無などを確認したあと、子宮頸部を観察する腟鏡診を行い、子宮頸管ポリープの有無を判断します。
子宮頸管ポリープが見つかった場合には、ポリープを切除して、さらに詳しい検査を行います。

子宮内膜ポリープ、
子宮頸管ポリープの治療

①子宮内膜ポリープ

以下の3つのいずれかにあてはまる場合には、手術でポリープを切除します。

・ 症状がある場合(不正出血や経血の量が多いなど)
・ 不妊の原因になっていると考えられる場合
・ 症状がなくても、悪性(がん)の可能性がある場合

手術は、子宮鏡検査と同様に、腟から子宮鏡と呼ばれる細いカメラを入れて行う子宮鏡下手術が用いられますが、入院で行う場合と外来で行う場合があります。また、これら3つの条件に当てはまらない場合には、積極的な治療を行わずに、定期的な経過観察を続けることもあります。

②子宮頸管ポリープ

基本的には、外来でポリープを切除します。
切除の方法はポリープの大きさなどにより異なります。ペアン鉗子(かんし)と呼ばれる器具やメスを使った切除のほか、大きなポリープに対しては、電気メスなどを使って出血を止めながら切除していきます。
なお、症状や悪性の可能性がなく、ポリープの詳細な検査が必要ない場合には、経過観察のみを続けることもあります。

病院に行くタイミング

子宮内膜ポリープ、子宮頸管ポリープともに、よく見られる症状は不正子宮出血です。生理期間以外の出血や性交後に出血が見られる場合などには、婦人科を受診してください。また、経血量が多い、生理期間が長い、おりものの状態がいつもと違うといった症状のある方、不妊に悩む方も、婦人科でポリープを含む婦人科疾患の検査を受けましょう。

子宮内膜ポリープや子宮頸管ポリープの多くは良性であるため、命にかかわることはまれです。ただし、ポリープは一度切除しても再発する可能性があります。そのため、医師とよく相談しながら、定期的な検査も続けていきましょう。

※生理は、正しくは「月経」といいます。ここでは、皆さんになじみのある「生理」をつかっています。

参考文献

  1. プリンシプル産科婦人科学 1.婦人科編 第3版 武谷雄二、上妻志郎、藤井知行、大須賀 穣 監修, 東京, 株式会社メジカルビュー社, 2019
  2. 病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版 医療情報科学研究所 編集 株式会社メディックメディア, 2018
  3. 日本産婦人科医会 No109 異常子宮出血(AUB) -PALM-COEIN分類に基づいた原因検索と対応- (1)
    Polyps:子宮頸管ポリープ,子宮内膜ポリープhttps://www.jaog.or.jp/note/%EF%BC%881%EF%BC%89polyps%EF%BC%9A%E5%AD%90%E5%AE%AE%E9%A0%B8%E7%AE%A1%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%97%EF%BC%8C%E5%AD%90%E5%AE%AE%E5%86%85%E8%86%9C%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%97/ (2023年11月閲覧)
  4. 産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020
    https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2020.pdf (2023年11月閲覧)

監修者のご紹介 ▶︎ 監修者の詳細ページへ

東京大学医学系大学院 産婦人科学講座
東京大学医学部附属病院 女性診療科・産科 准教授
平池 修 先生

産婦人科、特に生理に関連した疾患は、頻度が多いことからありふれた疾患と考えられ、我慢する、様子を見る、ということがこれまでずっと続いていました。しかし、ここに示すような色々な疾患と関連することが多いため、あなたのライフプランに大きな悪影響をもたらす可能性があります。ぜひ、知識を備えてあなたの人生を創っていきましょう。

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