正常な生理とは?生理痛やイライラはどうしたらいい?

目次

多くの女性がかかえる
“生理トラブル”・・・
自己判断での我慢は禁物です

「生理痛がひどい」「出血が多くてナプキンから漏れないか心配」「生理前はイライラしてしまう」「生理が来ない」など、多くの女性はさまざまな生理トラブルをかかえています。それにもかかわらず、「これぐらいなら病院に行くほどではない」と思い込んで我慢したり、市販の痛み止めを使用して済ませたりしている人も多いのではないでしょうか。

しかし、こうした生理トラブルのなかには子宮や卵巣などの病気が潜んでいたり、不妊症の原因になっていたりするものもあります。また、市販の痛み止めでやり過ごすのではなく、病院に行って適切な治療を受けることで、つらい症状がやわらいだり、生理の日を調整したりすることもできます。

まずは正常な生理についての理解を深め、少しでも「異常かも?」「心配だな」と思ったら、早めに婦人科を受診するようにしましょう。

生理トラブルには
どのようなものがあるの?

生理に伴う異常としてよく認められるのは、生理周期の異常[月経不順(生理不順)]、生理の量の異常、生理に伴う不調(月経困難症)の3つです。

生理周期の異常(月経不順)

生理周期の正常範囲は25~38日、変動が6日以内で、これに当てはまらないものが月経不順とされます。

生理周期が39日以上で、「生理がたまにしか来ない」という場合は「希発月経(きはつげっけい)」、生理周期が24日以内の場合は「頻発月経(ひんぱつげっけい)」といいます。また、「18歳まで生理が一度も来ない」、あるいは「生理が3ヵ月以上、止まっている」という場合は「病的無月経(びょうてきむげっけい)」と呼ばれます。

→詳しくは
・生理周期と経血量が普段と違う?生理不順について知ろう
・生理がこない?無月経について知ろう

生理の量の異常

生理の経血量は20~140mLが正常範囲で、通常、140mL以上の場合を「過多月経(かたげっけい)」、20mL以下の場合を「過少月経(かしょうげっけい)」と呼んでいます。

生理に伴う不調(月経困難症)

生理期間中に起こる下腹痛や腰痛、嘔気、頭痛、イライラなど不快な症状を「月経困難症」といいます。日常生活に支障を来たすほどの症状がある場合は、治療の対象となります。

→詳しくは
・生理周期と経血量が普段と違う?生理不順について知ろう
・月経困難症とは?毎月つらい生理痛があるときは

つらい生理痛、生理前のイライラ、気分の落ち込み・・・
それって耐えるしかないの?

生理の時、多くの女性は生理痛をはじめとする何らかの症状がありますが、それに加えて、おなかが張る感じ、吐き気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、イライラ、下痢、憂うつなどの症状がみられることがあります。これらを「月経困難症」といいます。

また、生理が始まる3~10日前から、イライラ、頭痛、むくみ、怒りっぽくなる、落ち着かない、憂うつになるなどの症状が出て、生理が始まるとそのような症状がなくなるのが「月経前症候群(PMS)」です。

なかでも、生理前の症状でイライラや不安、気分の落ち込み、うつ症状のような精神的な症状がひどい場合を「月経前不快気分障害(PMDD)」と呼んでいます。

こうした生理トラブルは、女性ホルモンやそれに関わる神経伝達物質が関わっている可能性があります。しかし、なかには子宮や卵巣などの病気で引き起こされているものもあります。また、病院に行って適切な治療を受けることで、つらい症状がやわらぐこともあります。自己判断での我慢は禁物です。

→詳しくは
・月経困難症とは?毎月つらい生理痛があるときは
・月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障(PMDD)について知ろう

生理トラブルに隠れている病気とは?

「いつもこんな感じだから」とあきらめて生理トラブルを放っておくのはよくありません。さまざまな病気が隠れていたり【表1】、不妊症につながったりすることがあるからです。将来、妊娠を希望する人はもちろん、今は希望しない人も、「生理トラブルはからだからの何らかのサイン」ととらえ、放っておかずに早めに婦人科を受診しましょう。

なお、婦人科を受診する際は、「直近3ヵ月の生理開始日、持続日数、経血の状態、症状」などを伝えられるようにしておくとよいでしょう。また、普段から基礎体温を測っておくと、自分のからだのリズムを知るのに役立ちます。

→詳しくは
・婦人科ってどんなところ?どんな病気があるの?

【表1】 生理トラブルとその原因となる病気

※生理は、正しくは「月経」といいます。ここでは、皆さんになじみのある「生理」をつかっています。

参考文献

  1. 日本女性心身医学会 一般のみなさまへ 女性の病気について 月経不順
    https://www.jspog.com/general/details_07.html
    (2023年11月閲覧)
  2. 日本産婦人科医会 研修ノート No106 思春期のケア (1)月経困難症
    https://www.jaog.or.jp/note/%EF%BC%881%EF%BC%89%E6%9C%88%E7%B5%8C%E5%9B%B0%E9%9B%A3%E7%97%87/
    (2023年11月閲覧)
  3. 病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版 医療情報科学研究所 編集, 東京, 株式会社メディックメディア, 2018(審査用;P25, 26, 27)
  4. 日女性医学ガイドブック 思春期・性成熟期編 2016年度版 日本女性医学学会 編

監修者のご紹介 ▶︎ 監修者の詳細ページへ

九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)
九州大学病院 産科婦人科  教授
加藤 聖子 先生

基礎体温は定期的につけるだけで、あなたの体の状態、リズムがわかります。そのしくみを知って有効に利用しましょう。

九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)
九州大学病院 産科婦人科  助教
河村 英彦 先生

日々の体調管理や妊活に基礎体温をぜひ役立ててください。普段の生活では気付きにくい体のことを、ホルモン分泌の様子を教えてくれます。

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