月経困難症とは?毎月つらい生理痛があるときは

目次

月経困難症とは

月経痛(生理痛)は、生理期間中にかけて子宮が収縮するために起きる、下腹部や腰の痛みのことで、頭痛、胃痛、吐き気、めまい、腸蠕動痛(ちょうぜんどうつう)、下痢などを伴うこともあります。これらの症状が日常生活に支障を来たすほど強い場合を「月経困難症」と言います。

月経困難症は、「機能性月経困難症(きのうせいげっけいこんなんしょう)」と「器質性月経困難症(きしつせいげっけいこんなんしょう)」の2つに分けられます。

からだには特に異常がないものの、体質などによって症状が起こる「機能性月経困難症」は、10歳代後半から20歳代前半以降に多くみられ、経血量が多い生理の1日目から2日目頃に強い痛みが出ます。一方、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因となって起こる「器質性月経困難症」は、30歳以降に多くみられ、生理の4~5日前から生理後まで鈍く重苦しい痛みが続きます【表1】。

【表1】 月経困難症の分類

月経困難症の原因

機能性月経困難症は、子宮の筋肉を強く収縮させる働きがあり、痛みの原因ともなるプロスタグランジンという物質が過剰に分泌されることや、子宮からの出口(子宮頸部)が狭くて経血を排出しづらいことなどで起こります【図1】。また、冷え性による血行不良や、ストレスといった精神的なことも症状を重くします。

一方、器質性月経困難症は、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が原因で起こります。

→詳しくは
・子宮内膜症とは?診察と治療の内容、受診タイミング
・子宮筋腫とは?診察と治療の内容、受診タイミング
・子宮腺筋症とは?診察と治療の内容、受診タイミング

【図1】 機能性月経困難症が起こるしくみ

月経困難症の治療

器質性月経困難症は痛みの原因である病気を特定し、その病気に合わせた治療が行われます。

機能性月経困難症には、痛みの原因物質となるプロスタグランジンが関係しているため、プロスタグランジンの産生を抑える痛み止め(非ステロイド系消炎鎮痛薬)を痛みが強くなる前から使用します。

また、排卵を抑え、子宮内膜を受精卵が着床しにくい状態に変化させる効果があるLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)製剤を使用することもあります。
この薬剤は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)という2種類の女性ホルモンを配合した低用量ピルのことで、月経困難症と子宮内膜症の治療のみに保険適用が認められています。これを使用することで、プロスタグランジンの産生が減り、子宮の収縮が抑えられるため、生理痛が軽くなります。

なお、生理痛がひどい人は、将来、子宮内膜症になるリスクが高いとされていますが、早い段階からこのLEP製剤を服用することで、子宮内膜症の発症を予防する効果が期待できます。

また、プロゲスチン製剤も排卵抑制と内膜を厚くならないようにする効果で月経困難症の治療薬として保険適用があります。

さらに、LNG-IUS(レボノルゲストレル子宮内放出システム) と呼ばれる3cmほどのT字型の器具を子宮内に挿入し、生理痛をやわらげる方法もあります。
この器具には、黄体ホルモンの一種であるレボノルゲストレルが含まれており、子宮内に挿入するとこの成分が徐々に溶け出していきます。その成分によって子宮内膜が増殖を抑えられるので子宮内膜が薄くなり、経血量を減少させるので、生理痛が軽減するという仕組みです。一度LNG-IUSを装着すると、その効果は最長で5年間持続します。

なお、LEP製剤やLNG-IUSの使用については、症状や生活への影響、副作用などを考慮して医師が判断します。使用を希望される方は、医師によくご相談ください。

また、自分でできる対処法として、生理時にお腹や腰を温めたり、栄養や睡眠を十分にとってリラックスしたりすることも効果的です。

妊娠希望の有無によって治療法が変わることがあるため、妊娠を希望される方はその旨を医師にご相談ください。


病院に行くタイミング

毎月つらい生理痛がある場合は、婦人科を受診してください。市販の痛み止めなどで生理痛がやわらげばよいのですが、痛みが強い場合や、以前に比べて痛みが強くなってきたような場合には、婦人科を受診し、子宮や卵巣に異常がないかどうかチェックしてもらいましょう。

→詳しくは
・婦人科を受診するタイミングと症状は?婦人科の診察ではなにをするの?

※生理は、正しくは「月経」といいます。ここでは、皆さんになじみのある「生理」をつかっています。

参考文献

  1. 病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版 医療情報科学研究所 編集, 東京, 株式会社メディックメディア, 2018(審査用P37)
  2. 日本女性心身医学会 一般のみなさまへ 女性の病気について 月経困難症(月経痛)
    https://www.jspog.com/general/details_67.html
    (2023年11月閲覧)
  3. 産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023
  4. 日本産婦人科医会 研修ノート No106思春期のケア (1)月経困難症
    https://www.jaog.or.jp/note/%EF%BC%881%EF%BC%89%E6%9C%88%E7%B5%8C%E5%9B%B0%E9%9B%A3%E7%97%87/
    (2023年11月閲覧)
  5. 女性も男性も暮らしも職場もhappy!に 年代別 女性の健康と働き方マニュアル―ワーク・ライフ・バランスとヘルスケア女性の健康と働き方マニュアル NPO法人 女性の健康とメノポーズ協会 編著 株式会社SCICUS

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九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)
九州大学病院 産科婦人科  教授
加藤 聖子 先生

基礎体温は定期的につけるだけで、あなたの体の状態、リズムがわかります。そのしくみを知って有効に利用しましょう。

九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)
九州大学病院 産科婦人科  助教
河村 英彦 先生

日々の体調管理や妊活に基礎体温をぜひ役立ててください。普段の生活では気付きにくい体のことを、ホルモン分泌の様子を教えてくれます。

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