生理の悩みを支えるフェムテック、LEP製剤、OC、ECって?

目次

生理は耐えるもの?

「生理痛は痛くて当たり前。我慢するしかない」・・・そんなふうに思っていませんか?生理中や生理前の症状には個人差があり、症状が気にならない程度の人もいれば、仕事や学校を休んだり寝込んでしまうほど症状の重い人もいます。「おかしいな」と不安に感じるほど生理痛が重い場合は、婦人科を受診してみましょう。

受診して、もし何らかの病気が見つかった場合はきちんと治療をしましょう。また、たとえ病気でなかったとしても、仕事や家事に集中できない状況があるときは、無理をせず休んだり、生活習慣を見直したりしてみましょう。我慢するのではなく、自分に合った方法で生理とつきあっていきましょう。

フェムテックとは

フェムテックとは、「Female(女性)とTechnology(技術)をかけ合わせた造語で、女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービス」のことを指します)。

フェムテックのジャンルは、①生理関連、②不妊・妊活関連、③妊娠・出産・産後ケア関連、④更年期関連、⑤ウィメンズヘルスケア、⑥セクシュアルウェルネスなど多岐にわたります。今まで、こうしたジャンルでの悩みや課題には個人差があり、「誰かに相談することではない」との思い込みから、問題をひとりで抱え込んで我慢する女性も多くいました。

しかし、技術の進歩によって、いくつかの課題は解決できるようになってきています。“すべての人が健康で幸せな日々を送れるよう、解決するために何ができるかを考え、その解決策を提供するツール”、それがフェムテックです。

フェムテックの製品・サービスにはどんなものがあるの?

現在、普及しているフェムテックの製品・サービスにはさまざまなものがあります【図1】。

【図1】 フェムテックの製品・サービスの分類

たとえば、生理に関するものであれば、これまで手書きで行っていた基礎体温などの記録をアプリ上で電子データ化するサービスや、腟内に直接挿入して経血を溜める月経カップ、デリケートゾーンに当たる部分が接触面・吸水面・防水面・ショーツ生地のように層になっており、ナプキンのように経血を吸収する吸収型サニタリーショーツといった新しいアイテムが登場しています。
さらに、不妊・妊活に関することでは、オンラインコミュニケーションアプリを利用して不妊に悩む人をサポートする遠隔健康医療相談などのサービスも始まっています。

これらの製品やサービスは、女性特有の健康課題に対応することで、多くの女性の日常生活の質を向上させることが期待されています。しかし、フェムテックは医療的な診断や治療を提供するものではないため、限界もあります。

たとえば経血量が多く、過多月経となっているのに、月経カップや吸収型サニタリーショーツで対処しようとしたり、生理痛を市販の痛み止めだけでごまかしたりするのでは解決にはなりません。そうした困りごとの裏には何らかの病気が潜んでいることもあるので、自分で対処する前に婦人科医に相談するようにしましょう。

新しいお薬にはどのようなものがあるの?

フェムテックなどの技術が進歩する一方で、生理に関連する医療の分野では、いくつかの新しい薬剤も登場しています。

LEP(低用量エストロゲン・
プロゲスチン配合薬)製剤

LEPとはLow dose Estrogen Progestinの略で、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬のことです。LEP製剤は低用量OC(経口避妊薬)とほとんど同じ成分の医薬品ですが、LEP製剤は「月経困難症」や「子宮内膜症に伴う疼痛の改善」など病気の治療を目的として健康保険の適用となる一方、低用量OCは避妊を目的とし、自費診療(自己負担)となります【表1】。

OC:低用量経口避妊薬

OCとは、Oral Contraceptivesの略で、経口避妊薬のことです。ピルと呼ばれることもあります。OCにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)の2つの女性ホルモンが含有されており、服用することで脳下垂体に働きかけ、卵胞の発育を抑えて排卵を止め、妊娠を防ぎます。
また、OCを服用していると子宮内膜が厚くならないので、万が一排卵し、受精したとしても受精卵が着床しづらくなります。さらにOCに含まれているプロゲスチンは子宮の入り口の粘液を変化させるため精子を子宮に入りにくくさせるといった作用も持っています。

EC:緊急避妊薬

ECとは、Emergency Contraceptionの略で、避妊をしないで性交渉した場合やコンドームが破れて避妊に失敗した場合などの緊急避難として用いられるものです。“モーニングアフターピル“と呼ばれることもあります。
ECに含まれるプロゲスチンが主に排卵を抑制ならびに遅延し、受精卵を作らせないように作用します。受精卵ができないため妊娠を避けることが可能です。無防備な性交後72時間以内にできるだけ速やかにECを服用することで、避妊効果を示します。

【表1】 LEP製剤と低用量OC

※生理は、正しくは「月経」といいます。ここでは、皆さんになじみのある「生理」をつかっています。

参考文献

  1. 経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室 フェムテック等サポートサービス実証事業 What’s Femtech?
    https://www.femtech-projects.jp/
  2. 令和2年度 産業経済研究委託事業 働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査報告書(概要版)
    https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/R2fy_femtech.pdf
    (2023年12月閲覧)
  3. Femtech Japan College わたしを知る 女性の体となやみ 広がる生理用品の選択肢と自分に合った生理用品の見つけ方
    https://college.femtech-japan.com/column/choicesanitaryproducts/
    (2023年12月閲覧)
  4. 女性の健康とメノポーズ協会 治療法と医療機関を探す 女性ホルモン製剤 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP)
    https://www.meno-sg.net/hormone/formulation/220/
    (2023年12月閲覧)
  5. ハッピーライフのために女性が知っておきたい30のこと 吉村泰典 編著, 東京, 毎日新聞出版, 2018 (審査用:P30)
  6. 女性の健康とメノポーズ協会 治療法と医療機関を探す 女性ホルモン製剤 低用量経口避妊薬(OC)
    https://www.meno-sg.net/hormone/formulation/212/
    (2023年12月閲覧)
  7. 日本産婦人科学会編 緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版)
    https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/kinkyuhinin_shishin_H28.pdf
    (2023年12月閲覧)

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九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)
九州大学病院 産科婦人科  教授
加藤 聖子 先生

基礎体温は定期的につけるだけで、あなたの体の状態、リズムがわかります。そのしくみを知って有効に利用しましょう。

九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)
九州大学病院 産科婦人科  助教
河村 英彦 先生

日々の体調管理や妊活に基礎体温をぜひ役立ててください。普段の生活では気付きにくい体のことを、ホルモン分泌の様子を教えてくれます。

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