子宮頸がんとは?診察と治療の内容、受診タイミング

目次

子宮頸がんとは

子宮頸がんは、子宮の入り口部分(子宮頸部)【図1】にできるがんです。30~40代に多いがんですが、最近は20代の若い人にも増えています。早期の段階では自覚症状が少なく、少し進行すると不正出血や性交時の出血が見られます。

子宮頸がんの多くは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが子宮頸部に感染して起こります。ただし、HPVは女性であれば一生に一度は感染するありふれたウイルスで、通常は感染しても免疫のはたらきで排除され、問題は起こりません。

しかし、ごく一部の人ではHPV感染が長期間続くことがあり、これにより子宮頸部にがんの前段階である異形成(いけいせい)※1が起こり、やがてがんへと変化します。

【図1】子宮頸がんの発生部位

子宮頸がんの診断

子宮頸がんは、次の診察・検査に基づいて診断されます。

細胞診

腟から小さなブラシのような器具を入れて、子宮の入り口部分から細胞を採取し、がん細胞や前がん病変※2の有無を確認します。子宮頸がん検診では、通常、この細胞診が行われます。

コルポスコープ診・組織診

細胞診で異常があった場合、コルポスコープという拡大鏡を使って子宮頸部の観察と組織の採取を行い、異常の有無を確認します。これにより子宮頸がんを診断できます。

内診・CT/MRI検査

周囲の組織へのがんの広がりや、リンパ節・他の臓器への転移※3を調べるために行う検査です。がんの広がり(進行期:Ⅰ~Ⅳ期)を明らかにし、治療方針を決定します。

子宮頸部円形切除術

早期の子宮頸がんに対して行われる子宮頸部を円錐状に切り取る手術で、がんが組織の深いところまで浸潤※4していないかを確認します。がんの前段階である高度異形成の場合には、治療として行うこともあります。

  1. ※1異形成;細胞を顕微鏡などで観察して判断する際の病理学の用語です。細胞が「現状ではがんとはいえないががんに進行する確率が高い状態(前がん病変)」や「悪性・良性の境界にある状態(境界悪性)」であることを指します。病変の程度により、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成に分類されます。

  2. ※2前がん病変;現状ではがんとはいえないががんに進行する確率が高い状態のことをいいます。

  3. ※3転移;がん細胞が最初に発生した場所(原発巣:げんぱつそう)から、血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官に移動し、そこで増えることをいいます。

  4. ※4浸潤;がんが周囲に染み出るように広がっていくことです。

子宮頸がんの治療

子宮頸がんの主な治療法は、手術療法、放射線療法、薬物療法です。どの治療を選択するかは、がんの進行期だけでなく、年齢や妊娠希望の有無などにより異なります。そのため、医師とよく相談のうえ、方針を決定する必要があります。

手術療法

手術でがんの摘出(てきしゅつ)が可能なⅡ期までと、Ⅲ期の一部の子宮頸がんに対して行われます。用いられる術式はがんの広がりなどにより異なりますが、基本は子宮全摘出術です。

なお、再発リスクの低下や手術では取り除けなかったがんを治療する目的で、放射線療法や薬物療法を併用することがあります。ごく早期で見つかり妊娠の可能性を残したい(子宮を温存したい)方には、子宮頸部のみを摘出する術式が行われることがあります。

放射線療法

がんに対して腟内もしくは腹部から放射線を照射する方法で、薬物療法と併用する同時化学放射線療法として行うこともあります。

薬物療法(化学療法)

放射線療法とともに行う化学放射線療法のほか、他の臓器への転移がある場合には薬物療法を単独で行うこともあります。

病院に行くタイミング

子宮頸がんは、がんの前段階である異形成(いけいせい)の時点で発見して治療を行えば、治癒(ちゆ;完全に治ること)が期待できるといわれています。また、ごく早期の子宮頸がんであれば、がんの部分だけを切除して子宮を残せる可能性もあり、早期発見がとても大切です。

しかしながら、子宮頸がんは早期に目立った症状がないため、症状だけで早期発見をすることが難しい病気です。そのため、症状がなくても定期的に子宮頸がん検診を受けて、早期に異常を発見し、早期の治療へとつなげていきましょう。もちろん、不正出血などの気になる症状がある方は、婦人科を受診して検査を受けてください。

参考文献

  1. プリンシプル産科婦人科学 1.婦人科編 第3版 武谷雄二、上妻志郎、藤井知行、大須賀 穣 監修, 東京, 株式会社メジカルビュー社, 2019
  2. 患者さんとご家族のための子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん 治療ガイドライン 第3版 日本婦人科腫瘍学会 編集, 東京, 金原出版株式会社, 2023
  3. 日本産科婦人科学会 産科・婦人科の病気 子宮頸がん
    https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=10
    (2023年11月閲覧)
  4. 日本婦人科腫瘍学会 市民の皆さまへ 子宮頸がん
    https://jsgo.or.jp/public/keigan.html
    (2023年11月閲覧)

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東京大学医学系大学院 産婦人科学講座
東京大学医学部附属病院 女性診療科・産科 准教授
平池 修 先生

産婦人科、特に生理に関連した疾患は、頻度が多いことからありふれた疾患と考えられ、我慢する、様子を見る、ということがこれまでずっと続いていました。しかし、ここに示すような色々な疾患と関連することが多いため、あなたのライフプランに大きな悪影響をもたらす可能性があります。ぜひ、知識を備えてあなたの人生を創っていきましょう。

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