基礎体温とは?
基礎体温を記録することでからだのどのようなことが
分かるの?

目次

基礎体温とは?

基礎体温とは、からだの動きがいちばん安静な状態にあるときの体温のことです。その条件をもっとも満たすのが「一定の就寝時間を経た後(朝でなくともかまいません)の目を覚ましたときに、動かず寝たままの状態で測った体温」。これを基礎体温と呼びます。
基礎体温は、専用の体温計(基礎体温計)を用いて舌下で測定します。
基礎体温に影響する因子としては、睡眠時間、睡眠環境、前日の生活環境や食事環境・アルコール摂取の有無、環境温度の変化などさまざまなものがあります。

→詳しくは
・基礎体温の測り方と測定を続けるコツとは?

基礎体温でどのようなことが分かるの?

基礎体温を毎日測定・記録することは、約1ヵ月周期で変動する女性ホルモンの状態や、排卵の有無、生理不順、妊娠など、自分の体内で起こっている変化やトラブルを知る手がかりとなります。生理周期が正常範囲内で排卵もある場合、基礎体温は低温期(相)と高温期(相)の二相性を描きます【図1】。

【図1】 基礎体温の変化と生理周期

たとえば生理が28日周期で排卵がある場合、生理初日(1日目)から排卵まで通常12~14日間は低温期が続きます。そして黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用によって、基礎体温が低温期より約0.3~0.5℃上昇する高温期に入ります(まれに排卵が起こらなくても基礎体温が上昇する黄体化未破裂卵胞があります)。この高温期は12~14日間続きますが、17日以上続く場合は妊娠の可能性があります。一方、妊娠が成立しない場合は、生理が起きて基礎体温は低温期に戻ります。なお、基礎体温が上昇せず、低温期が続く場合は無排卵の可能性もあります。

→詳しくは
・生理周期の仕組みとは?基礎体温やホルモンの変化
・女性ホルモンとは?基礎体温でホルモンリズムをチェック
・基礎体温の変化で、悩みの原因や妊娠の可能性を知ろう

基礎体温をつけると、こんなことが分かります

POINT 1
次の生理の予測ができる
POINT 2
妊娠しやすい時期(排卵期)の目安が予測できる
POINT 3
きちんと排卵が起きているかどうか確認できる
POINT 4
妊娠の可能性をチェックできる
POINT 5
ホルモンの影響で、むくみやイライラなどの症状の出やすい時期かどうか判断できることがある
POINT 6
卵巣予備能低下の早期発見に役立てられることがある

POINT 1
次の生理の予測ができる

高温期の日数は「14日間前後でほぼ一定」という特徴から、排卵後は次の生理が始まる時期を予測することも可能です。たとえば今日が高温期に入って4日目なら、あと10日ほどで生理になることが予測されます。
※ あくまでも予測であり、個人・体調によって変わる場合があります。

【生理周期】

POINT 2
妊娠しやすい時期(排卵期)の目安が予測できる

排卵の3〜4日前から排卵後の1〜2日の間は、妊娠しやすい時期といわれています。ただし、生理周期が乱れがちな人、排卵がきちんと起きていない 人は予測が難しくなります。
※ あくまでも予測であり、個人・体調によって変わる場合があります。

【生理周期】

POINT 3
きちんと排卵できているかどうか確認できる

体温の低い時期(低温期)と体温の高い時期(高温期)の温度差が0.3℃以下であったり、高低がはっきりしない、また低温期しかみられなかったりする場合は、排卵していない可能性があり「無排卵周期症」が疑われます。

→詳しくは
・基礎体温の変化で、悩みの原因や妊娠の可能性を知ろう

【生理周期】

POINT 4
妊娠の可能性をチェックできる

高温期が17日以上続くときは、妊娠している可能性があります。「もしかしたら」と思ったら、早めに婦人科を受診しましょう。

【生理周期】

POINT 5
ホルモンの影響で、むくみやイライラなどの症状の出やすい時期かどうか判断できることがある

生理前の黄体期(基礎体温の高温期)は黄体ホルモンの影響で、むくみなどが起こりやすくなり、イライラするなど、心の状態も不安定になることがあるとされています。

【生理周期】

POINT 6
卵巣予備能低下の早期発見に役立てられる

卵巣予備能が低下すると、低温期の期間が次第に短くなり、頻発月経の症状が現れやすくなります。高温期の期間が短くなる場合や、無排卵のため高温期がなくなる場合もあります。卵巣予備能の低下を早めにキャッチし、自分にあった対策をとることで、更年期のおとずれに対応したり、アンチエイジングができたりする可能性があります。

→詳しくは
・更年期とは?原因や症状、基礎体温との関係について
・更年期と上手に付き合っていくために

【生理周期】

自分で病気の判断をせず、なんらかの気になる症状があるときは、早めに婦人科の医師に相談しましょう。

※生理は、正しくは「月経」といいます。ここでは、皆さんになじみのある「生理」をつかっています。

参考文献

  1. 福田雄介, 片桐由起子:産科と婦人科 84(3):261-266, 2017(審査用;p261、262)
  2. 病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版 医療情報科学研究所 編集 株式会社メディックメディア(審査用;p24)
  3. 基礎体温をはかろう!基礎体温計測推進研究会
    http://www.kisotaion.org/kbow/index.htm(2023年12月閲覧)
  4. もっと知りたい!基礎体温のこと 松本清一監修 基礎体温計測推進研究会編著 株式会社十月舎(審査用;p58、59)
  5. 生殖医療の必修知識2023 一般社団法人 日本生殖医学会.(p76-84)

監修者のご紹介 ▶︎ 監修者の詳細ページへ

九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)
九州大学病院 産科婦人科  教授
加藤 聖子 先生

基礎体温は定期的につけるだけで、あなたの体の状態、リズムがわかります。そのしくみを知って有効に利用しましょう。

九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学分野(産科婦人科)
九州大学病院 産科婦人科  助教
河村 英彦 先生

日々の体調管理や妊活に基礎体温をぜひ役立ててください。普段の生活では気付きにくい体のことを、ホルモン分泌の様子を教えてくれます。

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